スズキ ラブⅢ CA51A

ラブⅢは1984年発売。コンパクトな後方排気の縦型シリンダーエンジンだが、ピストンやガスケットの寸法はセピアZZと同じで互換性があると思われる。いわゆる原付スクーターの基本形が固まる時期の車両で、構造はシンプルで加速も抜群。ただ60km/h規制に引っ掛かって最高速は駆動系で抑えられている。

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この時期のスズキ原付スクーターはなぜかブレーキシューがリアのほうが大きい。フロントのテレスコの剛性が足りず、重心の寄ったリアで止めようとしたのかもしれない。フロントブレーキは小さいが、車体が軽いため不足は感じなかった。またスズキ車はフレームナンバーの刻印のある場所がマチマチで、ラブⅢはネック付近にある。同系のジェンマクエストやHiはフレーム後ろ側のシート下やサイドにあって、探すに苦労したこともあった。駆動系も後のセピアやアドレスと共通部品が多く、整備性も良くレストアし易かった。

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エンジンはクランクケース前方にキャブレターが刺さるようにマウントされ、リードバルブを挟んでマニホールドは最短。インシュレーターはテーパーが掛かって180度湾曲しエアクリーナーはシリンダー上にある。マフラーはシリンダー後方から管長を稼ぎながら下向きに伸び、取り外しも簡単。ただこのレイアウトはエアクリーナーやチャンバーの容量に限界があり、メットインの時流もあってアドレス以降はシリンダーが横向きになった。ちなみに初期のモレ(FA14A)もこのユニットを積む。一世風靡セピアのCMもあって、スペックもスタイルも申し分なくカラーバリエーションも鮮やかで豊富なラブⅢは初心者にも大ウケ。またスズキの良心である車両価格も若者に優しかった。

リード90(HF05) タイヤ交換

以前リード50(AF20)の頃から前後ホイールをジョーカー90(50と同じ)に交換していた。ボルトオンでジョーカー用のほうが年式が新しく見栄えも良い。タイヤはリードが3.50-10が多いのに対しジョーカーは100/90-10が標準らしく、交換はタイヤ付きホイールの状態で行う。

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今回はリアタイヤの交換を忘れ、山がなくなってしまったので、とりあえず手元にあった(たぶんアドレスV100から外した)中古タイヤに交換。バイク屋に持ち込んでチェンジャーを借りるほうが遥かに早く汚れないが、冬場に自分でできるか試してみた。ゴムが硬くなるため気温が低いと難航する。自分でやるとタイヤレバーを使うので傷も付く。バイク屋のタイヤ交換工賃は、ホイールだけにして持ち込んでも2000円~3000円掛かる。実働状態からだと、外装やマフラー脱着もあるため5000円を超える。新品タイヤのみでも3000円~で、送料を入れるとドラスタで買うのとほぼ変わらない。毎日乗るため消耗が激しいので、バリ山タイヤ付きホイールを購入したほうが安上がり。いちおうヤフオクでタイヤ付きホイールを送料込み2250円で落札済みだ。

YAMAHA ニュースギア(UA06J)新聞配達仕様

ニュースギアUA06Jは専売店の代車を配達に使ったことはあるが自分で所有したことはない。だからメンテの事まではわからないが、新しいモノ好きの配達オヤジ連中が社有車を奪い合って、ああだこうだと言っていたのを覚えている。2ストから乗り換えた奴等がよくやるトラブルが、燃料ポンプの加圧完了のインジケーターが消える前にセルモーターのスイッチを押して、始動不良を起こす初歩的ミス。

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これをやると燃調が狂って失火。逆にカブリ気味になるので、アクセルを開けて始動すれば正常に始動できる。一度掛かってしまえば水冷のためか温度湿度の影響は2ストより受け難いように思う。また多少走行距離が伸びた車両でオイルに冷却水が混入するトラブルがあったとも聞いた。エンジンの構造はわからないが冷却水ポンプのシールが逝ってしまったのかと思う。初期のRZによくあったトラブルと同じ。またインジェクションのため、なにかしら電気系トラブルが起こるのも2ストに比べるべくもない。オイル交換も毎日乗ると、月に何度かせねばならず以外と面倒だとも聞いた。オイルは銘柄が指定され、これを守らず安物を入れてトラブるとクレームの対象外になる。

UA06Jに乗り始めると皆一様に2ストより「遅い」とボヤくようになる。たしかに出足は少し鈍い気がする。だが実際配達に使ってみると所用時間はほとんど変わらない。登坂時にパワーが足りない感じがあるので、坂が多い区域を配ると多少差が出るかもしれない。ちなみに私が社有のニュースメイトから2ストのUA03Jギアに乗り換えた時は、2時間半弱の配達時間の区域でラクに15分短縮した。その差、約一割の短縮。他の配達員でも10~15分は短くなる。この差は大きい。ただニュースギアはカブ型に比べるとイマイチ小回りが利かず袋小路で切り返しの連続になることがある。これを嫌う配達員はカブやメイトを好む。フロアのフットブレーキも慣れが必要だ。フロアやカウルはいがいと大きく、幅寄せができず縁石などに当てることもある。この辺りは03Jより06Jのほうがよく考えて作られているらしく、外装の破損は少ない。車重は06Jのほうが重く感じるが重心が低くなった感じもあり、ブレーキの利きは良いほうだと思う。03Jのほうが初心者の飛び出しや握りゴケが多い。

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反面カブ系は燃費が良いとはいっても燃料タンクが小さい。私の場合メイトにほぼ毎日給油しなければならなかった。ギアはメットインを潰して燃料容量が7ℓもあるので、一日おきで済む。ガソリンスタンドが遠かったり営業時間が短いと不便も感じるところ。ついでにUA06Jは業務用以外まず乗られないため、乗っていたら新聞配達員かピザ屋にしか見えない。2ストのUA03Jなら普通に乗っても恥ずかしくない…と思う。

ヤマハ JOGジョグ(27V)チャンプ80(2GM)

このペリカンジョグは以前バイトをした清水区内の某輸出業者を退職する時2台(27Vジョグ・チャンプ80他部品)8000円で購入しヤード内で一週間ほど掛けて作ったマシン。ご存知の通りチャンプ80は前3.00/8・後ろ2.75/10という今では考えられない過激なタイヤサイズで乗り難いため、扱い慣れた27Vの車体に乗せ換えたもの。

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この画像もさんざん転載されて貼りまくられているがヤフオク出展用に私が撮ったものがオリジナル。チャンプRS(2NA)のマフラーが大げさなわりに27Vのフロントがショボいが、ステム移植のための分解に失敗してディスクブレーキが付けられなかったためこんな仕様になっている。27Vのフロントブレーキシューはパッソルと共通で、確かに利かないが、車体が軽いため半ばロックさせて止まれば、さほど不自由は感じなかった。ただフロントホイールのリムは狭く3.00/10チューブレスタイヤがリムから外れたことがあった。ディスクブレーキ化したらマスターシリンダーの場所も加工が必要になり時間が無かったのも事実。ここまでなら電装系を含めほぼポン付けでできる。27Vは前述の通り軽量で構造も単純。バランスも良い。また縦型エンジンと駆動系は堅牢で、初期型はプーリーにゴム製の可動部カバーまで付いている。後に重量車にも搭載された名機でもある。3KJ以降はメットインスペースの都合で横型エンジンが主力となる。こんなモノを作ってしまうとツーリングに行きたくなるのは自明の理。

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季節も良かったので日本海を見に行った。道の駅「能生」付近。新潟県糸魚川市の海沿いでかなり暑かった。いちおうチャンバーにアルミ製カバーも付けた。8月の暑い時期に一眼レフに激安の期限切れフィルムを装填したため、焼けがヒドイ写真。27Vの唯一の弱点が2ℓ弱しか入らない燃料タンク。そのため荷台に積んでいるのは増槽と称する携行缶だが無論これは違法。実際には深夜ガススタを見かけるたびにチビチビ給油していたので無しでも問題は無かった。ヘッドライトは小さいが深夜の地方道でも光量に不満はなかったと思う。失業中の夏の思い出。

ホンダ DJ1L

昔 近所の交番のオマワリがこのDJ1Lで巡回に回っていた。当時少々いじったカブ90に乗っていた私はこのスクーターを原付(60km/h以上出ない)と思い込んで ほぼ直線の田舎道で振り切ろうとしたが…追い付けれ拘束された。手錠を掛けられ交番に連行され、3時間くらい説教を喰らった(昔のオマワリは乱暴だった)。

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レッドゾーンが50km/hから始まる「80kmメーター」は伊達ではない。出足の加速は到底カブなんぞの比ではなく、最高速が伸びたら 敵うはずもないのは改造猿を知る吾人なら判ろうというもの。 当時のスクーターは安全は二の次、むしろパワーを抑えることに腐心するほどスペック至上主義の古き良き時代だった。

 

二十数年前我輩を撃墜してくれた敵戦闘機と御殿場フリマで再開を果す。今見ると紅白餅の如き御目出度いカラーだが、当時は若者に大人気のDJ1とその発展型DJ1Rの狭間で、どちらかというと地味な存在だった。その後にDJ1RRのハイスペックも登場したが、80年代後半からはメットインが絶対条件になりつつあった。

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ホンダは塗装や樹脂が何故か脆い時期があった。キレイな赤シートは貴重。このネーミングには諸説があるが、昭和末期は いまだラジオがサブカルの一翼を担っていたのがわかる。今と違って、原付二種しかも排気量56ccなどという 中途半端な一人乗りの認知度はその頃は随分低く、現存する個体もそうとう少ないのではないかと思う。マイナーな派生型としても貴重な昭和のスクーター。

とはいえ、前述のマッドマックスのような経験を、その後も繰り返した私は、この色のDJ1に ひどいトラウマを持つようになってしまった。そのオマワリには 巡回中に私の自宅を発見され、「交機はどうだ?」とか就職まで斡旋された…。 (行くか!)

 

ホンダ トピックプロ(AF‐38)

 新聞配達用にはヤマハ・ニュースギアの独壇場だが、ホンダも一応対抗機種らしきビジネス・スクーターを作っていた。このトピック(AF38)は輸出相場の2万円で購入。エンジンはライブディオと一部共通。ヘッドライトはNS‐1と同じ。他はほぼ専用でできている。

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ニュースギアと違うのはシート下にメットイン・スペースがあること。フルフェイスは入らないが一定の深さがあり便利。またこのスペースを外すとエンジン上部が見えてメンテにも都合が良い。そのため燃料タンクはフロントカウル内に押し込まれるが5ℓ弱の容量がある。新聞配達用にはリアブレーキがフットペダルでないと都合が悪いが、フットブレーキの仕様はない。また荷台はギアより位置が高く、過積載時には安定性に問題がありそうだ。反面、前後12インチで車体強度もあり、走行性能は良い。最高速も60km出るし、電器式リミッターでなく駆動系で規制するため、ハイプリ加工で70km/hは出るのだが、なぜかウェイトローラーの摩滅が異常に早かった。おそらく荷重用にVベルトの張りが強いのだろう。そのためライブディオ同様、クランクベアリングのノイズが出やすい。加速は良いが車重もあるため、ブレーキの利きはそれなり。

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ライブディオ用のボアアップ・キットを組んだら、ピストンがヘッドに当ってしまった。圧縮比が違うらしい。キャブレターはクランクケースの中央にあり、さらなる高性能を予感させた。発売時に既にホンダは2サイクル機関の全廃を決めており、このエンジン一代で終わってしまったのは惜しい。見ての通りリアアクスルに補強用のアームが渡されていたり性能に拘った所が多いのもホンダらしい。ニュースギアが業務用に酷使され乗り潰される中で、逆に中途半端に在庫が残っていることも多い。エンジン前半部はライブディオと共通のため、手を掛ければまだまだ維持することも不可能ではない。

ホンダ エクスプレス(AB20)

20年以上前の話だが近所を配っている新聞配達が、このホンダ・エキスプレスで朝刊を配っていたのを覚えている。スーパーカブが当たり前でメイトやバーディなど車種がマチマチだった頃、エキスプレスは少数だが違和感はなかったと思う。

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 残念ながら新聞配達はフットブレーキでないと使い勝手が悪い。その他、過積載が日常の仕事故、サイドスタンドで立てた時の安定の問題もある。ただ昔カブは死ぬほどダサい乗り物だったが、今やオシャレなツールになっていることから、こんなスクーターが今あっても良いと思う。海外にはオートマのカブ系もあるらしい。

 

こちらはレストア中の赤。シート表皮がカブよりかなりもろく、張り替えている最中。旧型ビーノの茶色の外皮に貼り直したら、かなりオサレな雰囲気になった。こっちは大井川フリマで何処かのヤンキー兄ちゃんに一万円売ったら、ナンバー無しで3人乗りをして帰って行った。相当堅牢なのは間違いない。

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AB20という型式名からもわかるように、エクスプレスのエンジンは専用のものだ。今乗ると、エンジン音はかなり大きい。フロントがテレスコピックになっていたりで走破性が高いのは、原付オフロードレース(古のサガミ・ダ・カーラなど)で BW’s と共に出場制限が掛かっていたことでも実証済み。ただタイヤは前後16インチのため、安価なカブ用タイヤは使えないし、同様にエンジンも純正流用できる部品は少ない。ホンダは超ベストセラー、スーパーカブがあるためか、これ一発で終わってしまったのは惜しまれる。